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1873年(明治6年)4月2日付 東京府畜犬規則 坤第49号達
狂犬病が流行し、9名の犠牲者を出したため畜犬規則(東京府坤第49号)を東京府が布達した。
発令後、この規則は東京から全国に広がり、各地で飼い犬を区別し、飼い犬ではに犬の駆除が進むようになった。(環境省)畜犬規則の嚆矢とされる。
内容1. 飼い犬は首輪の装着をし、飼い主の住所氏名の明記した木札をつけ、不装着犬は駆除すること
2.狂病に感染している犬は飼い主が駆除すること
3.道路上に狂犬がいた場合は、警察官をはじめとし、誰でもこれを撲殺し、経費は飼い主が負担すること
4.猛犬は鎖でつなぎ、家畜を害することのないよう注意すること
5.飼い犬が他人の家畜を害した場合は、飼い主が補償金を支払うべきこと
6.飼い犬が人を殺傷した場合には、誰でも打殺することができ、飼い主はその怠慢の責任を逃れることをできず、補償金を支払うべきこと
1881年(明治14年) 5月18日 警視廳令甲第26号 畜犬取締規則 (改正)
畜犬取締規則は、地方警察令として畜件の取締りをしていた。この改正では、飼い犬が伝染病に罹った徴候がある場合や、 狂猛な犬の飼い主はその犬の繋留義務と所轄警察署への届出、犬が行方不明になった場合の所轄警察署への届出、 無標の犬を捕えて警察署が飼育する場合の飼い主の負担額が定められた。飼い主が支払った金銭は、その費用を犬の飼育料および檻の修繕にあてると定めている。
内容(現代語訳)
第一条 飼い犬はその飼い主の住所姓名を詳記した首輪または札を付けるべきこと
第二条…畜犬伝染病に罹患した徴候があるか、または狂猛であり、人畜に傷害を与える恐れのあるものは飼い主が繫留し、遁走しないようにする。但し、伝染病の徴候があるときは、速やかに所轄の警察署に届け出ること。
第三条…警視庁はその伝染病であることを確認する時は、飼い主と警察官吏とが立ち会いの上、この犬を撲殺することがあること。また、撲殺した犬は、焼却させること。
第四条…畜犬が行方不明となり、これを探そうとするものは、その犬の大小毛色種類等を詳記し、所轄の警察署に届け出ること。
第五条…警視庁は、無標の犬が徘徊しているときは、これを捕らえ、庁内の檻に入れ、一週間飼い、養うこと。
第六条…前条の迷い犬について、その飼い主が引き取りを願うときは、1日につき金二十五銭の飼育料をはらわせ、還付すること。もし一週間内に引き取りたいと願う者がいない時は、警視庁においてこれを売却し、飼育料及び檻の修繕費等の費用に充てること。
1896年(明治29年)3月29日 法律第60号獣疫豫防法制定
獣類伝染病予防規則があったものの、二度の牛疫侵入があったことや、狂犬病を始めとする伝染病が流行し、規則のみで防御できるレベルではないとして、法律が施行された。
獣疫豫防法制定により、狂犬病が初めて、法定伝染病として規定され、防疫にあたることとされた。また、犬を獣類と定め、法律としての位置づけが確定した。
畜犬取締規則との違い畜犬取締規則は、飼い主の責任や負担を規定したが、この法律では狂犬病の犬の病性鑑定のための処分に関する経費を国庫負担として、逆に手当金を与えることになった。 これは、防疫対策は個人レベルのものでなく、国として対応しなければ実効を期し得ないという意識変革に基づく重要な法律の制定である。
内容(関連する部分を抜粋)
第一条…狂犬病を十の獣疫の内の1つとして指定
第二条…獣類が獣疫を発症し、またはその疑いがあることを発見した所有者・管理人・獣医はその主旨を警察署か市町村長に届け出ること
また、狂犬病感染獣類を撲殺したときも同様に届け出ること
第三条…獣類が獣疫を発症し、またはその疑いがあることを発見した所有者・管理人は警察官or獣医or検疫委員の指揮に従い、直ちに鎖錮(私宅での監禁)、または健常な獣類と隔離し、その監督を受けること
第四条…狂犬病を発症した犬は所有者・管理人において、警察官、獣医又は検疫委員の指揮に従い、直ちに撲殺すること。前項において、所有者・管理人不在時は警察官、獣医又は検疫委員が直ちに撲殺すること
第六条…所有者が第四条の指揮に従わない場合でも警察官、獣医又は検疫委員が直ちに撲殺することは可能
第七条…撲殺した死骸は所有者・管理人が警察官、獣医又は検疫委員の指揮に従い、焼却・埋却すること
第九条…撲殺あるいは発症して死亡した死体を発掘・使用してはならない
第十条…病性鑑定のために撲殺した場合に手当金を交付(狂犬病犬も含まれる)
第十一条…狂犬病を発症した犬の撲殺においての手当金の支給は無い
第十二条…地方長官は獣疫予防上、必要な時は区域・獣類の種類を指定して出入りや往来を制限できる
第十四条 : 地方長官は獣疫予防上、必要と認めるときは区域を限定し健康な獣類の検査ができる
第十五条 : 外国から獣疫が侵入する危険がある時は輸入獣類の検疫を行い、場合によっては停止できる
第十七条・第十八条・第十九条…罰金規定
1897年(明治30年)2月24日 獣疫豫防心得告示 農商務省告示第4號
第11項 狂犬病に罹っている獣類にかまれたときは、人・獣類ともに危険なため、狂獣がある場合は、特に注意してその逸走を防ぎ、速やかに撲殺すること
第12項 狂獣に咬まれた獣類は、症状が現れるまでは厳重に鎖錮し、徴候が現れたときは直ちに撲殺すること
第36項 狂犬病の症状などについての説明
1914年(大正3)年12月8日 狂犬病予防に関する依命通達 農第9423号
農務局長および衛生局長は、 防疫対策の実効を上げるためには、 地域住民の協力を得ることが大切であるとして、 大正3 (1914) 年にこの依命通達をもって各都道府県に対して次の事項を通達した。
一 通俗衛生講話を行い又は印刷物を配布し狂犬病の危険、 予防その他に付き一般の注意を喚起すること
二 所有者ある畜犬と所有者なき浮浪犬とを明らかに区別する方法を設けること
三 畜犬は畜主をして狂犬病流行中なるべく繋留その他の方法に依り他犬と接近せしめざること
四 浮浪犬は掃蕩の目的を以って捕獲し適当の処置を為すこと
五 狂犬病の疑いある畜犬を鎖錮又は隔離せしめたる場合は少なくとも十日間時々検診を行うこと
六 狂犬病の発生に付いてはその都度遅滞なく流行の系統を調査し適切なる措置を為すこと
七 狂犬病に罹り又はその疑いある犬に咬まれたるものある場合は直に最寄警察署に就き指揮を請わしめること
八 斃犬に付いては成るべく検案を為したる上相当の措置を為すこと
1922年(大正11年)4月10日 法律第29号 家畜伝染病予防法制定
内容(獣疫予防法と異なる点のみ記載)
第四条…狂犬病に感染した際は、所有者・管理者は警察官or家畜防疫委員の指示に従い、直ちに撲殺すること。但し、緊急の必要があるときは指示を待たずに撲殺してもよい
第七条…地方長官が伝染病予防上必要ありと認めるときは、警察官・家畜防疫委員により家畜(犬を含む)に検診・免疫血清投与・予防注射を行うことが出来る。家畜の所有者・管理者はこの助力を拒んではならない。
第十七条…地方長官が狂犬病予防上必要あると認めるときは、徘徊している犬を抑留できる。抑留した際には所有者に通知する。所有者が分からないときはその旨を公示し、規定の期間に犬の返還請求がなかった場合、犬を処分できると定めた。
第二十四条…病性鑑定の為の手当金交付はあっても、狂犬病犬撲殺に対しての手当金交付は未だに行われず
これらの条項が新たに追加された。
こちらから
1950年(昭和25年)4月5日 厚生・農林両事務次官名で狂犬病予防について撲滅対策要領を通達
厚生・農林両事務次官名で狂犬病予防についての撲滅対策要領を都道府県知事充てに通達した。メモランダムにかかれていた内容を元に、
①犬の移動制限②予防注射および徘徊犬抑留の徹底③呟傷犬の処置④狂犬病予防液の供給⑤広報の徹底
などが主要項目となっていたようである。